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"今日はお疲れさん。なかなかうまくいって、よかった、よかった。" 上司は私をねぎらうために私の席を訪れたのに、 不覚にも私の目からは涙が溢れ、 そして私の口からは、 この数ヶ月間溜めていたものが一気に溢れ出した。 社会人一年生の頃、 失敗を重ねてトイレで泣いたことはあっても、 30代後半で今の会社に入ってから、 オフィスで、人前で、泣いたことはなかったと思う。 だから涙をこぼさないようにするのが精一杯で、 だけど一旦言い出したら、もう止まらない。 企画から準備、当日の采配まで、 約4ヶ月を費やして私が仕切ってきたイベントが、 とりあえずひとつ無事に終わった。 その過程において、 成功させなければいけないという重圧と使命感、 思うように動かない人間への苛立ち、 動かせない自分の不甲斐なさ、 締切を守らない人間に対して募るストレスと、 進捗の遅れに対する焦り、 プロフェッショナルであるべき人間の詰めの甘い仕事への憤り、 出来るだけ楽しよう、楽しようとする人間への不満、 どう考えてもアンバランスな人員配置と、 一部の人間に極端に偏った業務量、 そして20年前より明らかに重くなった責任と、明らかに衰えた体力、 もう、そういうものから逃げ出したい、投げ出したいと思いながらも、 多くの人間や企業が絡んでいるプロジェクトである以上、 決して私の感情で動いてはいけないと、 どうにかこうにか自分に言い聞かせてきたのだけれど、 責任感だけで動いてきた私は、 責任を果たした途端、怖いものがなくなった。 "今後もこの業務を私にアサインする以上は、 人員を増やすか、プロジェクトの進行や運営方法を見直していただかないと、 私はいつか潰れる。 他に抱えている業務にも影響を及ぼし、実際に一部滞っていることが堪えられない。 言い訳する自分も許せない。 もう2,3年前から人員配置、業務分担の改善を求めているのに、 会社は何ら対策を講じてこなかった。 リスクマネジメントのためにも、私が一人で抱えるのは適切ではないし、 我々のビジネスや関係者への責任を考えたら、 何か手落ちがあってからでは遅いはず。 今のうちに、Eさん(上司)のお考えをお聞かせ願いたい。 いつになったらどうなるのか、この状況をどう変えていただけるのか。" 上司にぶちまけた後、同僚男子に「付き合え」と言って飲みに行った。 私に恐れをなしたかどうかは知らないが、3人も付き合ってくれたのはありがたい。 イベント翌日は予め休暇を申請しておいた。 厳密に言えば、休日出勤の代休なのだけれど。 休暇当日予定していた彼のお誕生会を、 私の肉体的・精神的疲労困憊という、 恋する女とは思えないほどおそろしく荒んだ、 最低な理由で延期させてもらったというのに、 私は自宅で仕事のメールにアクセスしてしまった。 うっかり開封した上司からのメールには、 "昨日話し合った件、解決策を見い出したい。来週辺り、相談しましょう。" 相談、ではなくて、貴方にトップダウンで決断して欲しいのに―。 "限界を見極めることが大切" おせっかいな私の購読紙によると、山羊座の明日の運勢はそうらしい。 それならとっくに見極めている。 体力の限界も気力の限界も、そして能力の限界も。 これ以上、私にどうしろと言うのだ。
by apricot0113
| 2009-05-29 00:33
| 今
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