「お客様、ちょっと、お胸失礼しますよ~。」
胸って、「お」をつけるのか?
そんなことを思いながら、
仕事帰りにふらっと立ち寄ったランジェリーショップの試着室で、
店員にされるがまま、おっぱいをむぎゅっと摑まれた。
両脇の肉だかおっぱいの一部だかわからないようなお肉を、
彼女はものすごい力でぜーんぶカップの中に押し込んで、
「ほら、こちらのサイズの方がおキレイでしょ。お胸の納まり、とてもいいですよ~。」
最後に採寸したのは、何年前のことだったんだろう。
ずぼらな性格丸出しで誠に恥ずかしいのだけれど、
もしかしたら30代に入ってから一度も測っていないかもしれない。
若い頃どこかのショップで言われたCカップのまま、
出産もしていないのにサイズが変わるはずはないと思い込んでいた。
で、ワタクシのおっぱいは、このウン年の間に、CからEに成長していたらしい。
へぇ~、へぇ~、へぇ~。
で、早速、コレをお買い上げ♪ もちろん下とセットで、ね。
「杏の今日の胸の形、すごくいいと思ったんだけど。」
週末に帰った実家で言われた母の言葉に、
おおーっ、効果絶大、
ごめんね、私のおっぱい、今まで窮屈だったんだね、
まあどうせあの二人のオトコたちは脱がすことしか考えていないんだろうが、
気づく人は気づくもんなんだね、買って良かった、
そして、今から遡ること19年前の場面を思い出す。
初体験を済ませて当時の彼Gとしょっちゅう会っていた頃、
ある日、深刻な顔をした母に呼ばれた。
「杏、ここに座りなさい。」
「杏の身体が急に女らしさを帯びて、ママはここ数日夜も眠れないのよ。」
「まさかGくんとそういうコトしてないでしょうね。」
「お嫁に行くまでsexはしちゃいけないのよ。それまでちゃんと守るものなのよ。」
これは、親が私にした唯一の性教育だったかもしれない。
時すでに遅し、だったけれど、親の勘と眼ってすごいと思った。
さすがに、38の娘の胸の形や大きさが変わっても、それ以上はツッコまないな(笑)。
さて、私の引き出しにある19枚のCカップブラジャー、どのように処分致しましょうかね。
これって、
燃えるゴミでいいんだろうか。
でも、東京都23区指定透明ゴミ袋でそのまま捨てるのはいかがなものか、と思うし、
あ、そうだ、おっぱいはまた小さくなるかもしれないものね、
やっぱり少しだけ残しておこうっと。
って言うか、もっと早く気付けよ、自分。
飛び級したおっぱいに。