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「今夜、空いてる?」 アナタからの唐突なメールに、 「今夜はデートなの……父と(笑)。」 と返事したら、 「俺も、娘とデートしようかな…。30年後、俺も娘とデートできるかな。」 この人が既婚者であることを実感せざるを得ない瞬間。 ふっと力が抜けて現実に返り、ちくっと、きゅうっと、胸が痛くなる。 連休前の暖かい夜、 日本橋にある父の行きつけの天ぷら屋さんで、 ちょうどいい具合に漬かったぬか漬けをつまみに、 冷たいビールで喉を潤し、 父の好きな冷酒に付き合い、 そして、新鮮な素材をからっと揚げた江戸前天ぷらを塩でいただいた。 私の仕事の話、 父の現役時代の話、 母の話、 姉の異動の話、 庭の藤の花が見事に咲いた話、 先々週行った母との旅行の話、 父が最近読んだ本の話、 痛ましい列車事故の話、 中国と日本の歴史観の違い、 …そしてお決まりの私の将来の話、 家族4人で集まるのも賑やかでいいけれど、 こうして差しで話すのもいい。 かつては、全員がいつも同じ情報を共有している家だった。 父と母は一枚岩、親は絶対で、 片方だけにこっそり秘密を打ち明けたり、相談したり、 片方だけにこっそり何かをねだったり、 そんなことはあり得なかった。 家庭の中心は縦の親子関係ではなく、 父と母、横の夫婦関係がまず先にありき、 子供はあくまでも二次的、ぶら下がり的存在で、 だから、娘に甘い父親とか、友達みたいな母娘がうらやましかったこともある。 一年ぐらい前からか、父と娘のデートが不定期に行なわれるようになったのは―。 先月は、父と姉が青山の寿司屋で遅くまで呑んだらしい。 パパ、お姉ちゃんといろんな話が出来たって、すごくうれしそうに帰ってらしたわよ。 母もそれがうれしかったのか、話の内容が気になりつつも尋ねようとはしない。 父と娘のデート中の会話は非開示情報、 署名はしないけれど、暗黙のうちのNDAがある。 アナタのお嬢さんは、いくつになったんだろう。 いつかデートできるといいね。 こういう時、娘は父親にうーんと美味しいものねだっちゃうからね。 だから、ちゃんと旨い店に連れて行ってあげなくちゃいけないんだからね。 そういう店で粋にふるまう父親が、結構自慢だったりするんだから。 ずっと先のようでいて、そんな日、あっという間に来るんだろうね。 その時、アナタはどんなにうれしそうな顔をしているんだろうか。 決して私が見ることのできない表情、 でも、きっとイイ顔しているに違いない。 「また、行こうな。今度は鰻がいいか?」 帰り際、駅のホームで握手した父のうれしそうな表情を見て、 私もじーんと熱くなってうれしくなる。 親孝行できたと思ったのは実は大きな思い違いで、 独り占めで父親に甘えられる時間を、私が与えてもらったのかもしれない。
by apricot0113
| 2005-04-29 03:44
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