3年前のこの季節。
何気ない家族の団欒の場で、
私のお雛様が実は私の初節句ではなく、
姉の初節句のお祝いでいただいたものだったことを知った。
父方の家で初めて生まれた女の子の孫。
お祝いが重なって姉のお雛様は二対になった。
4年後に生まれたのも女の子。
その時どんな会話が交わされたのか知らないけれど、
一対のお雛様が妹に譲られた。
姉のは屏風、雪洞、桜橙付きのゴージャスな親王飾り。
私のはシンプルな木目込立雛。
だけど、小さい頃から大好きだった。
杏ちゃんらしくて愛嬌があるわね、
だから、私のために誂えてくれたお人形だと思ってた。
北京の乾いて暗くて長い冬でも、これを飾れば部屋に春が訪れた。
桃の節句を過ぎたらすぐにしまわないとお嫁にいけない、
だから毎年早めに飾って4日にはちゃんとしまってきた。
やわらかい和紙でお顔を丁寧にくるんで。
なのに。
ふ~ん、私のために贈られたものじゃなかったんだ…。
お嫁には行ったけど、結局戻ってきたし(笑)、
どうせもうお嫁にいくコトないだろうし、
出したらまた片付けるの面倒だし、
もういいや、
そんな投げやりな気持ちでこの3年間は箱にしまいっ放し。
引越の荷造りの時にはその存在すら忘れていたのだけれど、
せっかく新居で迎える初めての春、
あんなコト、こんなコトがあって、ひとりもがいていたこの冬から抜け出したい、
自分にもそろそろ春が訪れて欲しい、
そんな思いで、昨日、久しぶりに飾ってみたら、
女雛、こんなに首が傾いていたっけ?
これって首振り人形だったっけ?
ひえーっ!! 首が折れてるぅ~。
まさに首の皮一枚でつながっている状態。
どうしてだろう、引越の時、乱暴に扱ったんだろうか。
それとも、3年間暗い場所に閉じ込めていた私への怨念だろうか。
慌てて母に泣きついたら、
やっぱり、ママたちがいけなかったのかしらねぇ。
ちゃんと杏にも買ってあげればよかったのかしらねぇ。
今さら遅いよ。
次女はつらいよ。
でも、こんな無残な後ろ姿なのに、
痛くてたまらないはずなのに、
相変わらずニコニコ微笑んでいるお雛様が急に愛おしくなってきた。
明日、接着剤、買ってこよう。
こういう手作業、苦手なんだけどな…ちゃんと出来るかな。