立川志の輔落語会。
舞台には座布団とめくりと噺家だけ。
話術一本勝負、
話し手と聴き手が同じ空気を共有しているから、
どっちの集中力も最大限まで高まる。
時は江戸時代、
登場するのは町の浪人とべっぴん娘(貧乏だけど)とお侍さんと屑屋さん。
物語は耳から入るだけ、
観客は想像力を働かせて、それぞれに情景と人物像を思い描く。
引き戸をそっと開けて家の中を覗く場面、
仏像から小判がざくざく出てくる場面、
茶碗を絹の布で包んで桐の箱に入れて紐をかける場面、
どれもこれも、私のアタマの中では鮮やかに映像が再現され、
ああ、べっぴん娘(貧乏だけど)を演じた~い。
落語、これぞ、日本が誇る芸。
芸を磨くのにどれだけの精進を重ねてきたのだろう。
素晴らしいのは話術だけでなく、それが人々の感情を喚起すること。
思いっきり声を出して笑ったり、ほろっとして目頭を押さえたり、
感情移入して思わず、うんうん、頷いたり。
いつのまにか今日の私は表情豊かなヒトになっていた。
笑え、笑えと強要するかのように、
或いは、
感動しろ、涙を流せといわんばかりに、
過剰なまでのテロップや効果音で演出された最近のTV番組が、
いかに視聴者の脳を働かせないようにしていることか、
いかに視聴者の画一的な反応を想定していることか。
私も(笑)の連発には気をつけなくっちゃ。
"志の輔の独演会のチケットが一枚余っています。
「ためしてガッテン」の司会者の人よ。
人気が高くてなかなかチケット取れないんですって。
都合が良ければどう? 一緒に行かない?
笑うことは、病気の免疫効果やリラックス効果もあるの。
娘たちに少しは仕事を忘れて遊んで欲しいと思っています。
返事待ってるね。 ママより"
こんなメールが母から姉と私に送られてきたのが4,5日前。
私は土日も勉強会だから無理、杏、行ってきたら。 by 姉
そういうわけで私が両親にお供した。
どうもありがとう。効果バツグンだったよ。
でも笑い皺がちょっと増えたかも。
今夜は保湿美容液をたっぷりつけて寝ることにしよう。
…ってこんな時間に投稿している自分、言ってるコトとやってるコトが矛盾してるけどさ。